体表に存在する色素斑は、まずはダーモスコピーによる視診で、良性かどうかの診断を行ないます。若い頃から認める、直径5ミリ前後までの良性の色素斑を、一般的に俗称で「ホクロ」と呼びます。治療法は、炭酸ガスレーザーや手術を目的に応じて使い分けます。
良性・悪性の鑑別がダーモスコピーでは難しい場合や、ダーモスコピーで良性と診断されても、患者さんご本人が病理組織検査による精密検査を希望される場合は、手術で完全切除をおこないます。
ダーモスコピーで良性と診断されたうえでホクロの除去をする場合、主たる目的は整容的なものとなります。このため、治療後の瘢痕(キズあと)が最も目立たなくなるような治療計画を立てるために、それぞれの治療法の適応とその結果をよく理解しておくことが大切です。
治療計画の決め手となる検討項目は、ホクロのサイズ、形、場所、患者さんの肌質、生活背景(職業、習慣など)、治療期間など多岐にわたりますので、患者さん自身がご希望を率直におっしゃって担当医と話し合うことが大切です。以下に、各治療法の特徴をまとめますので、受診の際の参考にしてください。
炭酸ガスレーザー
局所麻酔ののち、レーザーを照射します。
所要時間は5分で、受診当日の治療が可能なので、患者さんの時間や労力の負担が小さい治療です。ただし、母斑細胞はレーザーで蒸散されるため、病理検査はできません。経験上、直径4㎜までで出来るだけ平坦なものは、キズあとが小さく平坦に治るため、レーザーの良い適応です。逆に、隆起したホクロは真皮深部にまで母斑細胞が存在しておりキズあとが深くなりやすいため、手術をお勧めする場合があります。
いずれの場合も、再発や取り残しを恐れて深めに照射するとキズあとが目立つため、初回はなるべく最小限の照射にとどめ、再発したら再度照射するほうが、最終的なキズあとが目立ちません。
部位の違いとして、皮脂腺の多い鼻は皮膚の再生が盛んなのでキズあとが目立ちにくく、4㎜以上の隆起したホクロもレーザー治療の良い適応でしょう。逆に、皮膚が非常に薄い瞼では縫合創がほとんど目立たないため、小さなホクロでも手術をお勧めします。
治療後は7〜10日間ほど、目立たない肌色のシールを貼ります。洗顔、入浴、シールの上からメイクも可能です。上皮化したあとは、ハイドロキノン美白クリームと日焼け止めクリームでアフターケアを行います。
当院のPOINT
手術とレーザー治療の両手技に慣れた医師らが治療を担当しますので、最良の方法をおすすめすることが出来ます。また、正確な皮膚科的診断をモットーとしていますので、たとえ患者さんが美容目的の治療をご希望でも、施術前に必ずダーモスコピーによる検査をいたします。悪性が疑われる場合は、ご説明の上、保険診療に切りかえます。
・局所麻酔で、施術時間は約5分です。
・治療後は7~10日間ほど肌色のシールを貼ります。その後数ヶ月茶テープを貼ります。
・テープを貼ったまま、治療当日から入浴・洗顔等はして頂けます。
・毎日処置をする必要はなく、テープが剥がれたら、洗顔しテープを貼り直していただきます。
Step.01
施術前
Step.02
術後のシール
After
施術後6ヶ月
-
- メリット
-
・時間や傷跡も最小限に抑えられる
・複数個、同日に施術が可能です。
- デメリット
-
アレルギー:麻酔薬、術後の内服薬、薬剤、テープ、縫合糸等で、発症することがあります。
・母斑細胞自体がレーザーで蒸散されるため、病理検査はできません。
・再発する可能性があります。
細菌やウイルス等による感染:抗生剤などの投薬を行います。
傷あと:初期はあかみをおび、約3ヶ月で目立たなくなります。
ケロイド:好発部位(肩甲部、関節部、恥骨部、口囲、下顎など)や、体質によって、傷あとが赤く腫れて目立つ事があります。
色素沈着:傷あとに日焼けしたり慢性刺激が加わると、茶褐色の跡が残る事があります。
★上記のリスクをできるだけ回避するため、術後は美白剤やテーピング、圧迫療法などをお勧めしています(自費:費用一覧表参照)
- 治療費
- 自費診療料金表ページへ
切除縫合術(手術)
局所麻酔で行います。所要時間は一般的には15分で、ホクロのサイズが大きく特殊な縫合方法が必要な場合は30分以上必要です。
切除したホクロは病理学的検査を行います。
直径4㎜以上のホクロは、経験的にレーザーよりも手術の方がキズあと幅が目立ちません。
隆起したホクロは深部にも母斑細胞が存在するのでレーザーではキズあとが深くえぐれたようになりやすく、たとえ4㎜以下であっても手術をおすすめすることがあります。
レーザーではキズあとが目立つ場所(頭髪内、眉毛、まぶた、口唇、頚部など)、ケロイド好発部位(肩甲骨上、口唇周囲、恥骨部、肩)も、手術の良い適応です。
治療当日はガーゼで圧迫固定をしますが、翌日から目立たない肌色のシールを貼り、洗顔、入浴、シールの上からメイクも可能です。5〜7日目に抜糸をし、縫合線が出来るだけ綺麗に成熟するようテーピングなどのアフターケアを半年以上続けます。
- 治療費